1： ◆azusaI.91Q ＠あずささん ★＠＼(^o^)／：2014/05/06(火) 18:59:52.87 ???0

希代のサウスポーが壮絶に散った。大阪城ホール（大阪市）で４月２３日に行われた国際ボクシング連盟（ＩＢＦ）
スーパーバンタム級タイトルマッチ。同級１３位で挑戦者の長谷川穂積（真正）は７回１分２０秒、チャンピオンの
キコ・マルティネス（スペイン）にＴＫＯ負けを喫し、日本選手として２人目の３階級制覇は果たせなかった。

待ち焦がれた３年ぶりの世界戦。長谷川に突きつけられたのは厳しい現実だった。２回、連打を浴びて早くもダウン。
７回には左のカウンターをもらって片膝をつくと、最後はよろめくようにキャンバスに倒れ込んだ。右眼窩（がんか）底と
鼻骨を骨折し、傷ついた顔面が痛々しい。「日本ボクシング界のエース」と称された全盛期を見てきただけに、
名王者の落日を感じずにはいられなかった。
長谷川の試合を初めて観戦したのは、２００９年３月、世界ボクシング評議会（ＷＢＣ）バンタム級での８度目の防衛戦だった。
当時２８歳。脂が乗りきった王者は向かうところ敵なしといえた。６度目の防衛戦から５戦連続ＫＯ勝ち。挑戦者は
いずれも５回まで持たなかった。「早く終わってすみません」。１回２分３７秒、３分にも満たないＫＯ決着はファンにとっては
物足りなかったかもしれないが、原稿の締め切りに追われる担当記者にはありがたかった
戦績は３８戦３３勝（１５ＫＯ）５敗。世界王者に上りつめるまでの長谷川は、防御にたけたテクニシャンだった。
その証拠に、プロ２０戦目で王座を奪取するまでのＫＯ勝ちは５度。世界戦がテレビ放映されて知名度が上がるにつれ、
第一人者の使命感が芽生えたのだろう。「防衛を重ねて、スタイルが変わっていったのは確か」。真正ジムの
山下正人会長は認める。ファンの記憶にある長谷川穂積はおそらく、インパクトのあるＫＯ劇と一体のはずだ。
小細工をせず、マルティネスと真っ向から打撃戦を展開した姿に、長谷川の矜持（きょうじ）を感じた。山下会長は
「ずるいボクシングをしていれば、勝てたと思う」。なぜ、そうはしなかったのか。
２０１１年４月、ジョニー・ゴンサレス（メキシコ）の強打に屈し、ＷＢＣフェザー級王座から陥落。８月に現役続行を
表明したが、世界再挑戦の機会は待てど暮らせど巡ってこなかった。輝かしい実績に加えて左構えのスタイルが、
王者たちを及び腰にさせたのは想像に難くない。「こっちがあぐらをかいていたわけじゃないことは、長谷川も分かって
くれていたと思う。せかしてはこなかったからね」と、マッチメークに奔走した山下会長は振り返る。
黙々とトレーニングに励み、次こそが最後と信じたノンタイトル戦をこなすこと４度。３年ぶりに訪れた大一番は「僕にとっては
一つの集大成。自分が強いのかどうかを確認したい」。美学を貫いた理由は、まさにそこにあったと思う。

戦い終えた長谷川をねぎらったのは、妻の泰子さんだ。「おもしろいボクシングを見せてくれて感動しました。
やるだけやったんで、納得していると思います」。結果こそついてこなかったが、一時代を築いたボクサーの愚直な生き様、
潔い負けっぷりは間違いなく、見るものの心を打った。

ソース/産経新聞社
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